新型コロナ時代のインフルエンザワクチンの意味

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今年は新型コロナウイルスの影響でインフルエンザワクチンの接種が推奨されています。厚生労働省は10月1日から優先的に65才以上の高齢者の方の接種を推奨しています。65歳以上の高齢者以外の年齢も公費負担する自治体もあることから全国的にインフルエンザワクチンが不足する可能性がいわれています(参考:2020年のインフルエンザワクチン)。
しかし今シーズンのインフルエンザの患者さんは少ない可能性があります(9月第1週の定点報告では昨年の1000分の1だそうです。(参考:2020年のインフルエンザワクチン))。ではインフルエンザワクチンの接種は必要ないのでは?と疑問に思った方の参考になるような文章を書いてみたいと思います。結論はインフルエンザにかかる可能性は低くても、インフルエンザのワクチンは接種する方がよさそうです。そう考える根拠を書いていきたいと思います。

今シーズンのインフルエンザの患者さんは少なそう

今シーズンのインフルエンザの患者さんは少なそうです。
というのも9月第1週のインフルエンザの発症が昨年の1000分の1という報告が出てきました。(参照:インフル患者、9月第1週昨年の1000分の1|日経新聞
インフルエンザが少ない理由は記事によると新型コロナウイルス対策で手洗いやマスク着用の習慣が広がった影響と考えられると書かれています。私はそれに加えて、極力人と会わない、会食をしないという習慣の変化もインフルエンザの患者さんが少ないことに影響を与えていると思います。
インフルエンザや新型コロナウイルスは基本的に人を介して感染します。つまり人に会わなければ感染することはありません。
里帰りを控えたり、飲み会を控えることで感染がかなり抑制されていますし、今年の冬もマスク着用、手洗い、人に会わないことは徹底されるでしょう。
そう考えると、昨年の1000分の1のままずっと少ないままかどうかはわかりませんが、上記の理由により少なくとも今シーズンのインフルエンザの患者さんは例年よりかなり少ないことが予想されます。

インフルエンザワクチンについて

上記のようにインフルエンザの患者さんが少ないことや、マスク着用、手洗い、人に会わないことはみんなで徹底されることから、今シーズンはインフルエンザにはかかりそうにありません。ではワクチンの接種は必要ないのではないでしょうか?
恐らくそのように考えて接種しない方もおられると思います。もし私が医者ではなければ、接種しないと考えていたかもしれません。
しかし今年だけでもインフルエンザワクチンを接種する方がよさそうだと私は考えているのでその根拠について書いていきます。私は医者で多くの患者さんと接することも多いため必ずインフルエンザワクチンの接種はしていますが、もし医者でないとしても以下の理由から接種すると思います。

新型コロナ時代のインフルエンザワクチンの意味

本来のインフルエンザワクチンの目的はインフルエンザの予防です。正確には感染が確実に予防できるわけではありませんが、感染したとしても重篤化することを避けることができます。つまり敵・相手はインフルエンザです。その意味ではインフルエンザが流行らなければ理論上はインフルエンザワクチンの接種は必要ありません。
しかし新型コロナウイルス時代に突入した今年は敵はインフルエンザだけではありません。

私の考える新型コロナ時代のインフルエンザワクチンの意味は「新型コロナウイルス感染を疑われないため」・「インフルエンザ予防接種が新型コロナの重症化を抑える可能性」の二つです。以下に詳しく書いています。

・新型コロナウイルス感染を疑われないため


新型コロナウイルス感染を疑われてしまう、発熱を主症状とするインフルエンザに罹患する可能性を下げるためにインフルエンザワクチンの接種がお勧めです。
つまり敵は新型コロナウイルスです。まだワクチンという明確な予防法や確立された治療法のない新型コロナウイルスですが、その新型コロナウイルスと見分けのつきにくいインフルエンザの予防のためにできることをしようというものです。
少しでも発熱をする疾患を避けるためにインフルエンザワクチンの接種を行いましょう。

・インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係

日経goodayのインフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係の記事によりますと、査読(専門家による検証のことです)はまだされていませんが、アメリカとブラジルで報告されています。

アメリカの報告はインフルエンザワクチンの接種が新型コロナウイルス感染症による死亡リスクを下げる可能性が示唆されているそうです(参考:Zanettini, et al. medRxiv preprint. Posted June 26, 2020.)。インフルエンザワクチンの接種率が10%高くなるとと新型コロナウイルスでの死亡率が28%下がるそうです。

ブラジルの報告は「インフルエンザの予防接種を受けている人は、新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくい可能性」が示されたそうです(参考:Fink G, et al. medRxiv preprint. Posted July 1, 2020.)。「予防接種を受けていた人は、受けていなかった人に比べてICU(集中治療室)への入院リスクが8%低く、侵襲的な換気(人工呼吸器など)を受けるリスクが18%低く、死亡のリスクも17%低かった」そうです。またブラジルは「高齢者のインフルエンザワクチンの接種率は90%を超えていた」そうです(参考:2020年4月17日付 ニッケイ新聞)。
興味深いのは南半球のブラジルは既に冬を迎えたということです。風邪の流行りやすい気温の低くなる冬を越した国の経験は、これから冬を迎える我々の参考になるのではないかと思います。

(参考: インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係│日経gooday)

インフルエンザワクチンと新型コロナの関係

インフルエンザワクチンが直接新型コロナウイルスの感染を抑えるわけではないと思います。何故ならインフルエンザワクチンはインフルエンザに対する免疫をつけるだけで、新型コロナウイルスの免疫は別物だからです。しかし現実にインフルエンザワクチンを接種することで、統計的には新型コロナへの影響があるようです。何故そのようなことが起こるのかはわかりませんが、インフルエンザワクチンの接種により免疫が増強する可能性が示唆されます。インフルエンザワクチンの接種により新型コロナの重症化が抑えられる理由は今後の研究をまたなければいけませんが、新型コロナウイルス感染に対するワクチンや治療薬という対策がない今はインフルエンザワクチンを接種することは理にかなっていると思います。

今年インフルエンザワクチンを接種するか悩んでいる方の参考になりますと幸いです。
特に高齢者は新型コロナウイルスに感染すると重症化する危険性の高いため、インフルエンザワクチンの接種をお勧めします。また若い方でもインフルエンザワクチンを接種するかどうか悩んでおられる方は、今年は接種されることをお勧めします。
橋本クリニックのインフルエンザワクチンのページはこちらです。

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コメント

  1. なるほどね~ すべてに納得がいきました。
    特に
    「新型コロナウイルス感染を疑われないため」
    「インフルエンザ予防接種が新型コロナの重症化を抑える可能性」

      • 橋本 康志
      • 2020年 9月 19日

      ⑦パパさん、コメントありがとうございました。
      自分自身がインフルエンザが流行らないならワクチンいらない?とふと思ったため、新型コロナ時代にインフルエンザワクチンを接種する『意味』を考えてみました。
      多少でも参考になれば幸いです。
      いつもコメントありがとうございます

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