子供さんが食べ物を口の中でモゴモゴさせて飲み込まない・・・

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皮膚病で来られた患者さんのお母さんに食事指導の話をしていると、お子さんが「食べ物を口の中でモゴモゴさせて飲み込まない」とおっしゃいました。
食べ物で遊んでしまって困っているとおっしゃいました。長いと1時間近く食べ物を飲み込まずにモゴモゴさせているとのことでした。
私にはピンときました。何故なら自分の子供たちの経験があったからです(参考:元気(長男、4才)が1.5Kg減元気(長男、4才)が1.5Kg減のその後元気(長男、4才)の体重減のその後のその後今度は目力(次女、小学6年生)が3Kg減!)。
元気(長男、幼稚園年中)の場合は「横になるとオエオエ出る!」と泣いたことでわかりました。胃薬を飲むことで症状は速やかに改善しました。残念ながら息子の場合完治はしていないため、内服を継続する必要があります。食べられなくなったら薬を飲ませるようにしています。薬を飲まなくても食事ができるようになる方法を模索しておりますが、今のところなかなかうまくいきません。

口の中でモゴモゴさせて飲み込まない

「食べ物を口の中でモゴモゴさせて飲み込まない」ことが逆流性食道炎ではないかと思ったのです。
少なくとも胃液が影響している病態を思いつきました。
恐らく食べ物を飲み込むと胃液がこみあげてきて気持ち悪くなるのだと思います。お子さん自身が何度か食べ物を飲み込むと気持ち悪くなることを繰り返しているうちに飲み込まなければ大丈夫ということに気づいてしまったのだと思います。食べたいから口にして噛むことまではするけれど飲み込むと辛くなる。それで飲み込みたくても飲み込めない可能性があるのではないかと思い至ったのです。

通常大人だと気持ち悪いとか胸やけがするなど言葉にできますし、食後不快な状況であることを言葉にできます。こちらのセルフチェックで予め自分でチェックすることもできます。しかし小さいお子さん、特に2歳児や3歳児では言葉にできないので、親としても困ってしまいます。
4才の元気(長男、幼稚園年中)はもちろん当時小学校6年生だった目力(次女、中学1年生)も自分に起こっていることをうまく言葉にはできませんでした。
お腹が空かないとか気持ち悪いなどの子供の訴えや、食欲がないけどお菓子は食べるなどの症状から親が想像するしかなさそうです。
今回は「食べ物を口の中でモゴモゴさせて飲み込まない」ことが症状でした。患者さんのお母さんとのお話の中で教えて頂き、逆流性食道炎の診断にたどり着き内服で症状が改善しました。

食べ物を口の中でモゴモゴさせて飲み込まないのが親から見ると遊んでいるように見えてしまいます。ついつい「早く飲み込みなさい!」と怒ってしまうこともあるでしょう。しかしお子さんの立場からすると飲み込むと気持ち悪くなるから飲み込みたいのに飲め込めない辛い状況で口の中でモゴモゴさせているのに、味方であるはずのお母さんから「早く飲み込みなさい」と怒られてしまうと二重に辛くなってしまいます
「口の中でモゴモゴさせて飲み込まない」のは、「飲み込むと辛いよ!」といういわばボディーランゲージです。
お子さんの発しているSOSのボディーランゲージを理解してあげて以下の対策を取られることをお勧めします。

治療

胃液が食道に逆流することで症状が起こるため、胃液の酸を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害剤)・ネキシウム®10mgの処方を行いました。
1週間後再診していただき、口の中でモゴモゴさせて飲み込まないことはなくなりました。しっかりご飯を食べるようになられたそうです。

逆流性食道炎があるのかどうかの確認は胃カメラをしなければわからないため小さいお子さんに施行するのは現実的ではありませんが、PPIを飲んで改善するため胃液が何らかの影響を起こしていることは間違いなさそうです。
大きな副作用はないため症状が疑わしい場合には内服してみてもよいのではないかと思います。

小児の逆流性食道炎

小さいお子さんで、むかむかするとか、ご飯食べたくないとかいうお子さんの一定数は逆流性食道炎の可能性が考えられます。今回のお子さんのように食事はしても口の中でモゴモゴさせて飲み込まないお子さんも逆流性食道炎の一種なのかもしれません。もしかしたら体重が増えなくて困っているお子さんも逆流性食道炎あるいは胃液が何らかの影響を与えている可能性が考えられます。
我が家で長男を病院に連れていこうと思わなかった一因に、お菓子は食べることができたことがあります。お菓子は食べているため病気とは思えなかったのです。今から考えれば少量ずつ食べるお菓子なら胃液が逆流しにくく、気持ち悪くなりにくいのかもしれません。このお菓子を食べることが病気を隠してしまっていました。
突然お菓子しか食べなくなったお子さんは、もしかしたら小児の逆流性食道炎の可能性が考えられます。
横になると不機嫌になるお子さんも小児の逆流性食道炎かもしれません。少し上体を起こした状態(リクライニング状態)で寝かせてあげることで寝付くことができるのであれば、小児の逆流性食道炎の可能性は高いと思います。抱っこだと寝るけど横にすると目が覚めるお子さんももしかしたら逆流性食道炎から横にすると胃液が食道に逆流して気持ち悪くて起きるのかもしれません。
いっぱい食べると気持ち悪くなるといって少量ずつしか食べないのも、もしかしたらおなか一杯食べると胃液が食道に逆流して気持ち悪くなるのかもしれません。

これらの症状があれば、小児でも逆流性食道炎かもしれません。
逆流性食道炎のお薬を処方してもらえる病院を受診してみてください。
小児科あるいは消化器内科であらかじめお電話で処方していただけるか確認されるとよいかもしれません。

橋本クリニックでは1歳以上のお子さんへのお薬の処方は可能です。あくまでも発熱・嘔吐、下痢などの症状がない元気な状態で他に症状がないお子さんを対象していいます。発熱・嘔吐、下痢などの症状がある場合には小児を受診するようにしてください。
お薬で改善しない場合には別の問題の可能性が考えられますので、総合病院小児科へ紹介する場合があることをご了承ください。

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