スタッフのお子さんも食欲不振・・・

元気(長男、4才)が1.5Kg減… に書きましたが、体重が減って困りました。
元気(長男、4才)が1.5Kg減のその後 に書いた通り、ネキシウム®という逆流性食道炎の治療薬を内服すると食べるようになりました。
そのことをスタッフと話していました。
2・3日してからスタッフが実は10才の娘さんが食欲がなくてご飯が食べられない。お腹が凹んできたといわれています。
症状を聞いてみるとどこかで聞いたような話です。
そうです。元気の症状と似ているのです。

お子さんの症状

  • 吐き気が強くて朝食が全く食べられない
    (恐らく夜横になって寝ているため、胃液が食道に逆流し食道炎が起こっているため違和感がある可能性が高いため、朝食を食べられない)
  • 昼食・夕食は少量だけ食べられる
    (恐らく昼間は横にならないため、食道に炎症があっても空腹もあり何とか食べられる)
  • 吐き気があり腹痛の訴えはあるが、嘔吐はない
    (恐らく食道に炎症が起こっているため腹痛や吐き気を感じてしまうが、嘔吐反射や胃の内圧が高まっているわけではないため嘔吐はしない)
  • お菓子は食べることができる
    (恐らくお腹は空くため、少量で満足感が得られるお菓子は食べる。食事をすると胃液が多量に出ることで逆流が起こるため食事はしたくない)
  • 食後しんどいため横になれない
    (恐らく食後横になると食べた物を消化するために分泌された胃液が食道に逆流するため、食道炎がひどくなるのを経験的にわかるようになるため横にならなくなる)

症状を聞いて、食道炎と仮定すると辻褄が合いそうな内容をかっこ内に書いてみました。

治療

当院で体重に合わせてネキシウム®の処方をさせていただきました。
元気(長男)と同じでその日の夜から食事ができるようになったそうです。
1週間分の処方をしましたが、4日飲んだだけでその後飲まなくても食事は普通にできるようになったそうです。
このネキシウム®は通常8週間しか処方できないことになっていますので、長引くことを心配していましたがあっけなく治ってしまったようです。その後は薬を飲まなくても嘘のように普通に食事ができるようになったそうです。

スタッフが困っていた点

スタッフが困っていた点とは、病院に連れていくほどではないと思っていたそうです。何故なら嘔吐を繰り返すわけでもなくお菓子は食べられるので、重篤な病気ではないだろうと考えてしまったそうです。お菓子は食べることができて食事は気持ち悪くなるから食べないのは気分的な問題ではないかとも考えてしまったそうです。
我が家の元気(長男、4才)もお菓子は食べるけどご飯は気持ち悪くなるから食べないというので、気分的なものかと思ってしまっていた点も似ています。

今日スタッフと話をしていて話題になったのは、お菓子は食べられるけどご飯を食べると気持ち悪くなるというのは妊娠の際の「つわり」みたいという話になりました。私には経験ありませんが、お菓子は食べても気持ち悪くないけど、ご飯は食べると気持ち悪くなるから食べられないというのが共通しているかもしれないということでした。家内に話をしてみても、お菓子は食べられてもご飯は気持ち悪くなるという点で納得していました。目力(次女、小学6年生)を妊娠中にはチョコレートしか食べられなかったからです。

まさか逆流性食道炎という器質的な問題が潜んでいるなんて想像すらしていなかったそうです。
その証拠に元気の話を聞いて娘さんの症状と似ているなと思ったそうですが、まさかと思って2・3日様子をみたそうです。やはり改善しないし、一つ一つ症状が元気の話と合致するので私に話してくれました。
まさかと思ってしまうようです。

逆流性食道炎

胃カメラをしていないため診断確定と言っていいかどうかはわかりませんが、少なくとも二人劇的に改善したのは事実です。そこで逆流性食道炎の診断基準を調べてみました。
日本消化器病学会が公表している胃食道逆流症(GERD)の診断基準を見つけることができました(診療ガイドラインはこちら)。
フローチャートでは問診により内視鏡を施行した場合と内視鏡を施行していない場合にわかれていました。
今回のように内視鏡を施行していない場合、問診で診断がつくあるいは疑わしい場合ネキシウム®などのPPI(プロトンポンプ阻害薬)内服をして様子をみて、症状がなくなれば一過性症状として診察終了とするそうです。
再度症状が出る場合やPPI(プロトンポンプ阻害薬)を内服しても改善しない場合には、内視鏡により診断が確定した場合にはネキシウム®などのPPI(プロトンポンプ阻害薬)を8週間投与するようです。

小児の場合も同様と考えれば、今回の処方は診療ガイドラインにも沿った対応だったようなので一安心です。
むしろ小児の場合は、内視鏡をするのが困難だと思うため、内視鏡なしでPPI(プロトンポンプ阻害薬)内服が第一選択でよさそうです。
(問診からほぼ逆流性食道炎を確信していましたし、胃薬の内服なので危険性はないため万が一ガイドラインに沿っていなくても問題はなかったとは思いますが・・・)

小児の逆流性食道炎について

小児の逆流性食道炎の患者さんが身近に二人いたということは偶然なのか、潜在的に小児の逆流性食道炎の患者さんが多いのかはわかりません。ただ一人だけなら偶然かもしれませんが、身近に二人いると偶然が重なっただけとは思えないです。私は潜在的な小児の逆流性食道炎の患者さんが多いのではないかと疑ってしまいました。そしてうまく言葉にできないお子さんが、逆流性食道炎に気づかれないまま悩んだり苦しんだりしているのではないかと心配しています。
というのも胃食道逆流症の診療ガイドラインによると有病率は10%程度と推測されています。恐らく大人だけの調査での有病率だとは思いますが、もしかしたら子供も同じような有病率の可能性があるからです。通常小児は胃カメラをされることが少ないため、認識されていないだけかもしれないと私は疑っています。
お子さんが成長して話ができる年代になっていれば、どのようなときに吐き気や腹痛が起こるか聞くことができますが、話ができない年代でも逆流性食道炎になりえるのではないかと思います。その場合には発熱や嘔吐などの症状が無いにも関わらず突然食事をしなくなったなどの症状から、逆流性食道炎を疑ってPPI(プロトンポンプ阻害薬)を1週間程度内服してみるのも一つの選択肢ではないかと思います。

調べてみると簡単な質問に答えるだけで逆流性食道炎の可能性を知ることのできる問診表が公開されていました(問診表はこちら)。8点以上で逆流性食道炎、胃食道逆流症の可能性が高いそうです。お子さんの場合わかりにくいとは思いますが、8点以上に当てはまるようならPPI(プロトンポンプ阻害薬)を処方してもらえる小児科あるいは消火器内科を受診してみてください。
上記に当てはまる場合や発熱などはなく元気なのに食欲だけがない場合、呉市内の方でしたら皮膚科ですが橋本クリニックを受診していただければ飲み合わせ等の問題がなければ処方することが可能です。状況により総合病院へ紹介することがあります。
発熱や咳・嘔吐などなくて元気なのに、お子さんやご自身の食欲がないあるいは体重が減っているとしてお困りでしたら、まずは問診表で確認してみてください。

我が家では嘔吐するなどの他覚症状がないので精神的なものかと考えてしまいました。大切なことは、お子さんの言葉をもしかして本当に気持ち悪いのかもしれないと信じてあげることです。

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小児の逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)の一覧はこちらをごらんください。

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