子宮頚癌ワクチンについて ~男性に対して・新薬について~

広島ブログ

男性の方から子宮頚癌ワクチンについて接種希望のお電話があったので、男性に対しての子宮頚癌ワクチンと新薬が承認されたのでそのことを書いてみたいと思います。

現時点で認められているサーバリックス®とガーダシル®についての子宮頚癌ワクチンに関してはこちらをご覧ください。
簡単に書くと子宮頚癌を予防するワクチンと言っても癌を直接予防するわけではありません。実は子宮頚癌の多くがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染によって生じることがわかってきたため、そのヒトパピローマウイルスへの感染をワクチンにより予防しようという作用機序です。
ただ一度感染したウイルスをワクチンで排除できない(治療ワクチンではない)ため、感染する前に接種する必要があります。そのため若いうちに接種が推奨され、現時点(2020.7月現在)で小学校6年生~高校1年生が公費負担の接種対象です。

男性に対する子宮頚癌ワクチンについて

男性に対する子宮頚癌ワクチンについてですが、男性には子宮頸部がないためワクチンをうっても子宮頚癌の予防という意味はありません。しかし海外では男性への接種も推奨されています。何故なら男性から女性に感染させてしまうからです。男性も感染を予防することで男性から女性への感染の可能性が低くなるからです。
男性に対する子宮頚癌ワクチンは、女性に感染させないためにワクチンをうつという意味だけでなく、ガーダシル®であれば男性も罹患する外陰癌との関与がいわれているパピローマウイルスの感染予防や尖圭コンジローマの感染予防ができるという意味もあります。
男性が子宮頚癌ワクチンをうつのであれば、多くの種類のヒトパピローマウイルスに対する感染予防ができるワクチンをうつほうがよさそうです。
現時点ではサーバリックス®が2価(2種類)、ガーダシル®が4価(4種類)のヒトパピローマウイルスに対する効果が期待できるのでガーダシル®を接種する方がよいと思います。ただ男性が接種するのであれば新しく発売される9価(9種類)のワクチンを接種する方が理にかなっていると私は思います。

男性に対する子宮頚癌ワクチンの問題点

男性に対する子宮頚癌ワクチンには問題点がいくつかあります。
一つは公費負担がないため男性が接種する場合には、全額自費診療になってしまいます。(薬剤費が高いため1回15000円~20000円程度かかります。病院によって異なります。ちなみにネットでみつけた個人輸入したガーダシル9®を接種する病院は33000円でした。)
もう一つは添付文書の適応外のため、副作用が起きた場合でも国の予防接種健康被害救済制度の対象とならないことです。
以上をご理解いただいたうえで接種をご検討ください。

シルガード9® 9価の子宮頚癌ワクチン

MSDが申請していた9価の子宮頚癌ワクチンであるシルガード®が承認されました。(参考:MSD 9価HPVワクチン・シルガード9の承認取得「多様な症状」は全例調査で情報収集へ
海外ではガーダシル®9として販売されているそうですが、取り間違いを防止するためにシルガード9という名前にされたそうです。

添付文書より

【効能・効果】
ヒトパピローマウイルス 6、11、16、18、31、33、45、52 及び 58
型の感染に起因する以下の疾患の予防
・子宮頸癌(扁平上皮細胞癌及び腺癌)及びその前駆病変(子宮
頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2 及び 3 並びに上皮内腺癌(AIS))
・外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2 及び 3 並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)
1、2 及び 3
・尖圭コンジローマ

MSD 9価HPVワクチン・シルガード9の承認取得「多様な症状」は全例調査で情報収集へ」より

HPV16、18、31、33、45、52、58型は子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がんなどの原因になることが知られている。子宮頸がんに対するHPV型のカバー率は、4価HPVワクチンが約65%であるのに対し、シルガード9は約90%とされる。

添付文書による機能からするとガーダシル®よりもシルガード9®の方がよさそうです。
もし上記の男性が子宮頚癌ワクチンをうつ問題点をご理解頂いた上で接種を検討されているのであれば、シルガード9®を接種する方がよいと私は思います。

ワクチンが発売されるのがいつになるかわかりませんが、公費負担になるには時間がかかりそうなのでまずは自費で接種することになりそうです。

子宮頚癌ワクチンの副作用ついて

子宮頚癌ワクチンの副作用については重篤なものが報告されています。重篤な副作用の報告があるため、危険性と予防効果を十分理解したうえで接種をすることが大切です。重要なことは接種を受ける本人が危険性と予防効果を十分理解し納得した上で接種することです。家族が無理強いしたり強く促したりはしない方がよいと私は考えています。何故なら子宮頚癌になるリスクがあるのも、副作用で苦しむことになるのも接種を受ける本人だからです。

我が家ではパッチリ二重(長女、中学3年生)と目力(次女、中学1年生)が接種対象年齢ですが、パッチリ二重(長女、中学3年生)に子宮頚癌ワクチンについて相談したときには、娘はワクチンを受けるといっていました。
何故なら副作用で痛いを思いをずっとするかもしれないけれども子宮頚癌で死ぬよりましだと言っていました。命と痛みを天秤にかければ、命の方が大切なので、躊躇うことなくワクチンを接種するに決まっているといっています。なんでそんな当たり前のことを聞くの?という呆れ顔で返されてしまいました。
予防効果が時間とともに減弱するので、できる限り遅くうつほうがよいと我が家では考えているため公費負担の最後の学年である高校1年生で接種する予定です。
娘が高校1年生の間に、シルガード9®が発売になり公費負担の見込みがあるため、長女にはシルガード9®が公費負担になった時点でうつことにすると思います。
(もし来年度・高校一年生の間に公費負担にならなければ、ガーダシル®を接種すると思います)

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