今では考えられないことですが、20年以上前の若い頃の発熱に関する話です。
ある病院で勤務していた時代、患者さんの発熱には敏感で、37.5度以上の発熱があれば、臨戦体制で24時間何時でも血液検査をして対応していました。自分達で採血して、自分達で血液の遠心分離をして検査機械にかけてデータを出していました。数値が高すぎると測定不能になるため生理食塩水で10倍・100倍に希釈して数値を出していました。1日に何度も採血や注射をさせてもらっていた(発熱以外でも点滴当番があったのです)おかげで採血は上手になりました。今となっては懐かしい思い出です。
「39度熱があるんです」かえってきた言葉が…
患者さんの発熱はすぐに臨戦体制になるのですが、一度私自身が体調が悪くて動けそうになくなってしまったことがありました。それでも頑張って仕事をしていたのですが、どうにも動けないので流石におかしいと思って熱を測ると39度もあります(平熱は35.5度前後なのでかなり高いです)。上司に伝えると「39度!?バカ!」と怒られました。一瞬早くいえという意味だと思ったのは甘かったです。「39度なんて測るからだ!。39度とわかると余計しんどく感じるだろう!。(どうせ人がいなくて休めないんだから)、熱なんて測るな!」。
忙しくて代わりがいないのがわかっているので一瞬は確かにとは思いはしましたが、身体が動かないし流石にまずいと思い「患者さんにうつすかもしれないのですが…」
「関係ない!」
労わりの言葉まではなくても、多少は配慮してもらえるかと思いましたが…。患者さんの熱はあれだけ敏感に対応するのに、自分が発熱してしまっても…。正直長くいるところではないなと思いました。今なら大問題になりますが、当時はそれがまかり通っていました。というか私がそんなところに迷い込んだという表現が正しい気がします。しかも自己管理が出来ないダメな奴といったみられ方でした…。多分…。
恐ろしいくらいブラックですね。職場環境というだけでなく、患者さんへの感染という意味でも大問題だと思います。あくまでも20年以上前の話です。
今考えるとインフルエンザだったのではないかと思いますが、調べてみるとインフルエンザの簡易検査が出来るようになったのは2001年からでした。それ以前は今のようにインフルエンザの簡易検査が出来ず、明確に風邪との区別が出来なかったからかもしれません。高熱が出ても酷い風邪くらいの認識だったからかもしれません。しかも患者さんにうつしてしまったとしても当時は証明のしようがないので、問題にならなかった(上司も気にしなかった)のかもしれません。
今考えてもゾッとします。(新型コロナ時代に上司が「熱なんてはかるな!」なんて言おうものなら大炎上でしょうね)
結局はその後仕事をしたものの一段落した時点で流石に休ませてもらったようなかすかな記憶があります。というのもしんどくてその後のことを余り覚えていません。
ちなみに今も同じ病院で働いている元同僚に聞いてみると元上司は転勤し、今は完全に変わってホワイト職場らしいです。
(実は別の病院ですが、C型肝炎の方の手術中針刺し事故をしても、関係ないと取り合ってもらえず手術を続けろ!と上司に怒られた恐ろしい経験もあります。幸い感染はしませんでしたが、これも今考えてもゾッとします)
この経験から
私はこの経験があるため(当然この経験がなくてもするべきですが)、新型コロナウイルスが流行る前からスタッフが発熱しても無理して出勤しようとすると必死で止めます。万が一インフルエンザだった場合、患者さんにうつしてしまうリスクがあるからです。(私達にもうつりますし…)
今回の新型コロナウイルス感染に関してはゆめタウンの方針で、スタッフ全員毎日家で体温を測るようにしています。出勤後も測るようにしていますが、幸い今のところ誰も発熱していません。
6/15からはゆめタウン入店時に警備員により入店者全員の検温を行うようになっています。今のところ誰も発熱していないそうです。
元々私は体温を測る習慣はないのですが、今回の新型コロナウイルス感染に関しては今までの経験は役に立ちませんので、発熱していないことを祈りつつ恐る恐る毎日体温を測っています。その体温を測る際に、そういえば昔「体温を測るな!」って怒られたなと思い出した次第です。
まさか医療従事者や患者さんだけでなく全員の検温をする時代がやってくるなんて、20年以上前の私は勿論一年前の私も全く想像できませんでした。人々の想像をこえる事態になってしまいましたね。
1日でも早く新型コロナウイルス感染がおさまるといいですね。
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