元々は妊婦さんに防腐剤としての水銀が含まれていないインフルエンザワクチンの接種を行っていましたが、4年前に不足した際、防腐剤としての水銀が含まれていないインフルエンザワクチンが製造されない年がありました。インフルエンザワクチンを希望される妊婦さんも水銀入りのワクチンを接種せざるを得ない状態でした。そうなると通常の製剤を妊婦さんにも接種するのか、妊婦さんへのワクチン接種を見合わせるかの選択になります。
そこでワクチンに含まれる水銀量と食べ物の比較をしてみました。結果はインフルエンザワクチンに含まれる水銀量はごく僅かなため心配ないことがわかりました。その年以後妊婦さんにも通常のワクチンを接種しています。安心して読み進めてインフルエンザワクチンの接種を受けてください。その根拠を掲載してみたいと思います。
インフルエンザワクチンに含まれる水銀量
医師会の資料によりますとインフルエンザワクチンに含まれるチロメサール含有量は
1人分あたり2μg~4μgです。
当院で扱うインフルエンザワクチンのチロメサール含有量は2.5μgの予定です。
魚に含まれる水銀量
2.5μgが多いのか少ないのか判断に迷いますが、実は日頃食べている魚には水銀が含まれています。
海水中に含まれる極微量の水銀が食物連鎖で濃縮されるため、大型の魚ほど含有量が多くなる傾向にあります。(参考:厚生労働省 魚介類に含まれる水銀の調査)
比較的食べる機会が多い、大型魚であるクロマグロを例に考えてみたいと思います。
厚生労働省の調査によるとクロマグロに含まれる水銀の量は0.542μg/gです。
ということはワクチンに含まれる水銀2.5μgはクロマグロ4.6gに相当します。
回転寿司のネタが1貫15gらしいので、マグロ1貫以下マグロ1/3貫ということになります。インフルエンザワクチンに含まれる1回あたりの最高の4μgのワクチンとしてもマグロ7.3gなので回転寿司のマグロ1/2貫分です。
つまりワクチンを打つのは、マグロ1/3貫(最大でも1/2貫)食べることに相当します。 逆に考えれば、マグロのお寿司を1皿我慢すれば良いようです。ごく微量ですが日頃それほど意識せずに水銀を摂取しているので、ワクチンに含まれる水銀だけを取り立てて心配する必要はないように私は思います。
食べるのと注射では異なると考える人もおられますが、基本的に水銀は食べたものは全て吸収すると考えられているので同じように考えて良いと私は思います。
それでも心配な妊婦さんはインフルエンザワクチンは見合わせる方が良いかもしれません。
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