新型コロナウイルスと関連があるのかどうかわかりませんが、帯状疱疹の患者さんが増えています。
(帯状疱疹の説明は当院ホームページ:痛みのある湿疹(帯状疱疹:Herpes Zoster)をご参照ください)。
まだ集計はできていませんので印象ですが、昨年の今頃は帯状疱疹の患者さんは週1〜2人程度でした。それが今は平均すると毎日1〜2人の患者さんが来られます。多い日は1日に4人の患者さんが来られたこともあります(集計しました。参考:4月の帯状疱疹の患者さんが多かったようです)。
3月頃から多いなという印象で、特にここ2〜3週間で増えています。新型コロナウイルスによって生活に支障を来たしたストレスが原因か、新型コロナウイルスに感染したことに関連しているのかはわかりません。恐らくストレスがかかったことによって帯状疱疹になりやすいのではないかと思います。何故なら帯状疱疹の患者さんが新型コロナウイルスに感染したことが原因であれば、もう少し呉市で新型コロナウイルスの患者さんが確認されてもおかしくはないからです。幸い呉市は今のところ新型コロナウイルスの患者さんは1人だけでその後増えていないので、新型コロナウイルスに感染した方が帯状疱疹を発症している可能性は低そうだからです。
帯状疱疹とは?
(帯状疱疹の詳しい説明は当院ホームページ:痛みのある湿疹(帯状疱疹:Herpes Zoster)をご参照ください)
帯状疱疹は神経節に潜んでいる水疱瘡のウイルスが再活性化することで発症します。神経に沿って症状が出現するため身体では帯を巻いたように水疱を伴う皮疹が出現します。だから帯状疱疹と言われるようです。
身体では半分帯を巻いたようになることが特徴です。
体のどこに出てもおかしくはありません。腕に出ることも足に出ることも、頭に出ることもあります。典型的な症状が身体に帯を巻いたような分布になるため帯状疱疹と名付けられています。ちなみに方針とは水疱を生じる皮疹という意味です。
症状としてはチリチリとした痛みが出ることが多く、赤みが出て水疱になります。チリチリした痛みだけでは神経痛との判別がつかないため様子をみることになりますが、神経に沿った赤みが出現すればほぼ診断は確定します。水疱になった場合には検査キットを使うことで診断をすることもできます。(神経支配に一致して痛みを伴う紅斑や水疱の場合、検査キットを使うことはほとんどありませんが、皮疹と範囲が狭い場合ヘルペスと鑑別が難しいため検査キットを使用する場合があります)
治療は抗ウイルス剤を使用します。内服した方が帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹の治った後に痛みだけが残る病気)になる可能性を低くしてくれます。
帯状疱疹はうつる?
帯状疱疹の患者さんから帯状疱疹としてうつることはありません。帯状疱疹の患者さんから水疱瘡がうつることはあります。これまで水疱瘡にかかったことのある方はかかりません。ワクチンをうっている方にも通常水疱瘡はうつりません。
予防法
50歳以上の方が対象ですが、水痘(水疱瘡)の予防ワクチンを接種すると5〜8年間帯状疱疹の予防効果が期待できます。完全に予防出来る訳ではありませんが、ワクチンを接種していると帯状疱疹を発症しても軽くてすむそうです。現在は自費のため全額自己負担となります。近いうちに公費負担となる見込みですが、新型コロナウイルスのこともあり時期の見通しが立たない状況です。また何歳が公費負担の対象になるかわかりません。高齢者が対象になる可能性が高いのではないかと思いますが、全くわかりません。
公費負担をしてもらえるようになるまで待たれるか、自己負担でも良いからすぐに接種するかの判断はお任せします。水痘・帯状疱疹の予防ワクチンはこちら。
帯状疱疹の余談
帯状疱疹は水疱瘡のウイルスによって引き起こされるため、水疱瘡のお子さんに接するとウイルスを吸い込むことでワクチンを接種したのと同じ効果が起こるようです。そのため保育士さんの帯状疱疹の罹患率が低いそうです。
ただ今からは保育士さんも帯状疱疹になりやすくなると思います。何故なら小さなお子さんが水疱瘡(水痘)の予防接種を受けるようになったため、お子さん自身が水疱瘡になりにくくなっているからです。水疱瘡のお子さんに触れる機会が減っているため予防効果が期待出来なくなるからです。
皮肉にもお子さんが予防接種で水痘(水疱瘡)に罹患しなくなった(参考:帯状疱疹の疫学動向)ことで、大人が帯状疱疹になる確率が上がるそうです(参考:小児ワクチン定期接種化とその影響)。大人もワクチンで帯状疱疹を予防する時代が来ることになりそうです。
体にピリピリと痛い部分に赤みや水疱が出た場合、帯状疱疹の可能性が高いため出来るだけ早く皮膚科を受診するようにしてみてください。
当院の帯状疱疹の患者さんの集計をしました。
グラフもありますので、よかったらご参照ください。(参考:4月の帯状疱疹の患者さんが多かったようです)
(帯状疱疹の詳しい説明は当院ホームページ:痛みのある湿疹(帯状疱疹:Herpes Zoster)をご参照ください)
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